絵本江戸土産(広重)第8編09 築地西本願寺
絵本江戸土産の第8編の「築地(つきじ)西本願寺(にしほんがんじ)」です。
上の絵には「江都(こうと)の両(りょう)門跡(もんぜき)東(ひがし)は浅草(あさくさ)にて、西(にし)は当所(とうしょ)なり。御堂(みどう)の結構(けっこう)言語(ごんご)に絶(ぜつ)す。晨(あした?)より昏(くれ)に至(いた)りて参詣(さんけい)の道俗(どうぞく)ひきもきらず。弥陀(みだ)の本願(ほんがん)謬(あやま)りなし。一たびこの場に詣(もう)づる人は天堂(てんどう)に生(しょう)ずること実に疑(うたがい)いあるべからず」とあります。
絵の右上に見える大屋根が西本願寺の本堂です。当時の本堂は南西を向いていたようですので、屋根の形から推測して、この絵は本堂の北側か又は南側から描かれたことになります。又、当時の西本願寺は北西以外は堀(築地川)で囲まれていましたので、絵に見える流れは、堀の一部かと思われます。絵の左側には二つの橋が90度ずれて架けられていますが、橋の位置関係をもとに当時の地図で確認すると、現在の築地川公園(築地川を埋めて作られた模様)の辺り、あるいはちょっと離れた采女橋の辺りが候補になります。しかし、その場合は東側かあるいは西側から本堂を見ることになり、絵の本堂の屋根の形が合いません。というわけで、私にはどこから描いた絵なのか分かりませんでした。
下の写真は、現在の本堂です。絵の描かれた時代とは異なり、北西を向いています。伊東忠太設計によるインド風の石造りです。