自作してみた!太陽光発電 5.バッテリーの規格と使い方

はじめに

ここでは、太陽光発電に使われるバッテリーについて、種類、性能、充電状態を知る方法などについて書きます。なお、この記事を書くに当たり、「蓄電システム.com 」 など様々なサイトを参考にさせてもらっています。

下は、「自作してみた!太陽光発電」の記事一覧です。

主なバッテリーの種類

太陽光発電に使えそうなバッテリーとして、以下のようなものがあります。

・鉛蓄電池 スターターバッテリー

・鉛蓄電池 ディープサイクルバッテリーやEB蓄電池

・リン酸鉄リチウムイオンバッテリー

これらについて少し説明します。

スターターバッテリー

スターターバッテリーは、自動車に普通に使われているバッテリーで、エンジン始動時に瞬間的に大きな電流をだすことのできるバッテリーです。ライトやエアコンなどでも電力を消費しますが、走行中にオルタネーター(発電機)から充電され、ほぼいつも満充電に近い状態になっています。このように、充電と放電が同時に行われるような使い方を「フロート利用」と呼びます。なお、スターターバッテリーは、価格は安いのですが、過度に放電すると極端に蓄電能力が低下してしまうという欠点があります。

ディープサイクルバッテリー

一方、ディープサイクルバッテリーは、深い放電に耐えられるように設計したバッテリーです。太陽光発電の場合、発電は晴れた昼間、放電は必要に応じ、という具合に、充放電に時間的ズレのあるのが普通です。このように、充電と放電を繰り返す使い方を「サイクル利用」と呼びます。ディープサイクルバッテリーの放電特性は下のようになっています。

蓄電システム.com 」より引用

リチウムイオンバッテリー

スマホや携帯にも使われ、電気自動車にも利用されているバッテリーです。
長寿命で、充電速度が速く、大電流の放電が可能、放電深度が大きい、などオフグリッド太陽光発電に適したバッテリーです。放電特性は以下のようになっています。放電深度が90%程度になるまでほぼ一定の電圧を保持しています。

蓄電システム.com 」 より引用

今の所、鉛蓄電池に比べ割高ですが、使いやすいこと、寿命が長いことを考えると、十分考慮に値するバッテリーです。

開放型と密閉型

鉛バッテリーについては、は開放型と密閉型に分けることができます。
バッテリーは、化学反応によって電気の放充電をしており、充電する際に、水が分解されて水素ガスが発生します。開放型は、発生したガスを逃がすようにできており、分解により水が減りますので精製水を補充できるようになっています。

密閉型は、ガス抜きや精製水の補充が不要になっており、メンテナンスフリー(MF)バッテリーとも呼ばれます。従って、密閉型は、開放型に比べて使いやすいのですが、値段がやや高い、電解液の比重点検ができない、急速充電ができない、という欠点もあります。

太陽光発電に向いたバッテリー

太陽光発電のバッテリーについては、上に書いたように、深い放電に耐えられ、サイクル利用や大電流の放電にも劣化しないこと必要です。

スターターバッテリーは、価格が安くて魅力的なのですが、太陽光発電に使うと寿命が1年前後になってしまう恐れもあります。

ディープサイクルバッテリーは、価格が少し上がるものの、太陽光発電でも寿命が少し伸びると思われます。

リチウムイオンバッテリーは、価格は更に上がりますが、上のすべての条件を満たし、寿命が長いので結局得かもしれません。

鉛バッテリーの性能

バッテリーの寿命

バッテリーの寿命は、使い方によって大きな差が出ますので、サイクル回数(充電放電の繰り返し回数)や設置してからの経過時間で示すことは困難です。購入してから全く使わなくても、長期間放置しておくだけでバッテリーの性能は低下します。 経験的に、バッテリーの寿命は、比較的悪条件で使用されて2年、好条件で使用されて5年だそうです。

容量

バッテリーの容量は、Ahで表します。国内の自動車用バッテリーは「5時間率(5HR)」という基準で表記されています。例えば、5時間率「40Ah」は8Aの電流を5時間流すことができますという意味になります。

欧州車用バッテリーは「20時間率(20HR)」、オートバイ用バッテリーは「10時間率(10HR)」が使われています。

バッテリーは、放電の仕方によって取り出せる電力が違ってきます。そのため、統一的な表示が必要になります。

具体的に示します。

・5時間率容量は、容量の1/5の電流を放電し、放電終始電圧10.5Vになるまでの時間と電流の積Ahです。

・10時間率容量、20時間率容量も同様です。

電化製品の使用可能時間を求める際に、バッテリーの容量を電化製品の使用電流で割って使用可能時間を計算してはいけません。バッテリーは、満充電することが難しく、さらに完全放電させてしまうと蓄電能力を極端に低下させてしまう恐れがあるからです。バッテリー容量の60~70%程度の容量で計算するのが無難です。

バッテリーの電圧と充電量の目安

バッテリー電圧と残量の関係については、例えば、「自作DIYソーラーと太陽光発電で売電・節約・エコ人生」には以下のように書かれています(少し省略しながら引用しています)。

「12Vバッテリーで、10.5Vを残量0%、13.5Vを残量100%として、バッテリーの残量とフル充電までの充電時間の目安を段階的に書き出してみましょう。

・バッテリーの電圧と残量、充電時間の目安
13.5V、残量100%、充電は不要
13.2V、残量90%、容量の1割の電流で0時間45分
12.9V、残量80%、容量の1割の電流で2時間00分
12.6V、残量70%、容量の1割の電流で3時間15分
12.3V、残量60%、容量の1割の電流で4時間30分
12.0V、残量50%、容量の1割の電流で5時間45分
11.7V、残量40%、容量の1割の電流で7時間00分
11.4V、残量30%、容量の1割の電流で8時間15分
11.1V、残量20%、容量の1割の電流で9時間30分
10.8V、残量10%、容量の1割の電流で10時間45分
10.5V、残量0%、容量の1割の電流で12時間00分

バッテリーの劣化具合や環境などによって変ってきます。フル充電で14Vほどになる場合もありますし、13.5Vにならない場合もあります。まぁ、こういうのは完全に曖昧な目安として受け止めるしかないですね。」

とあるわけですが、上の数値が目安程度に過ぎない、ということに加えて、バッテリー電圧そのものを正確に測るのが難しい、という問題もあります。

バッテリー電圧の測り方

正しい電圧は、次のように測るのだそうです。「蓄電システム.com 」 を引用しています。

・ 充電中、放電中は測らない。
・ バッテリーターミナルの(-)端子を外して、チャージコントローラーに電気が供給されていないことを確認します。(LED等の消灯)
・ 充放電をやめてから1時間以上経過してから計測する。

電圧の測り方が難しい理由

では、充電・放電をしている時にバッテリー電圧はどうなっているのでしょうか。

「充電中の電圧」と「放電中の電圧」が同じ数値を示していても、実際のバッテリー残量(放電状態)は異なります。ちょっとやってみるとわかるのですが、チャージコントローラーの電圧を監視しながら、太陽光パネルが発電状態、あるいは、負荷の変化させてみると、バッテリー電圧は1V程度は簡単に変化します。

この辺りのことについて、参考まで、「蓄電システム.com 」 を引用して(少し要約しながら)下に載せます。

「1.満充電から1/10C(10A)程度の負荷をかけながら5Aのソーラー充電を行っている場合

満充電~90%容量 13.5V~13.0V
90%容量~60%容量 13.0V~12.5V 最も容量比率の大きい電圧範囲
60%容量~40%容量 12.5V~11.5V
40%容量~30%容量 11.5V~11.0V
30%未満 11.0V~10.0V インバーターの遮断電圧範囲

2.30%容量を持つ11.0Vのバッテリーを1/10C(10A)でソーラー充電だけを行った場合

充電開始~50%容量 12.3V~13.0V 11.0Vだったはずの電圧が充電開始直後には、すでに12.3Vとなっている
50%容量~60%容量 13.0V~13.4V 2番目に容量比率の大きい電圧範囲
60%容量~80%容量 13.4V~13.8V 最も容量比率の大きい電圧範囲
80%容量~95%容量 13.8V~14.3V
95%容量~満充電 14.3V~14.5V
満充電~フロート充電中 13.6V~13.7V 本当の満充電電圧値

3.50%程度放電状態と思われるバッテリーに24W(12V/2A)の負荷をかけながら、2Aのソーラー充電を行った場合 (バッテリーは元気な100Ah容量として、充放電差分電流値を「±0A」しています)

充放電開始(50%容量)
~60%容量 12.3V~12.8V
60%容量~70%容量 12.8V~13.4V 2番目に容量比率の大きい電圧範囲
70%容量~80%容量 13.4V~13.8V 最も容量比率の大きい電圧範囲
80%容量~90%容量 13.8V~14.1V
90%容量~95%容量 14.1V~14.2V
95%容量~満充電 14.2V~14.3V 満充電のはずなのに14.5Vに達していない(負荷が接続されているので実際のバッテリー電圧より低く出る)
満充電~フロート充電中 13.5V~13.6V  負荷があるので低めに出る(実際は、バルク充電とフロート充電の繰り返しとなる)」

以上の引用から分かって頂けると思いますが、充放電状態によりバッテリー電圧がかなり異なる値を示します。

なお、上で、Cという記号を用いていますが、これは、放電レート(充電レート)のことで、電池容量に対する放電時(充電時)の電流の相対的な比率です。1 C とは,公称容量値の容量を持つセルを定電流放電(充電)して,ちょうど 1 時間で放電終了(充電終了)となる電流値のことです。例えば,定格容量 100 Ah の電池において、1/20C(0.05C)のときには5Aとなります。

バッテリーを長持ちさせるコツ

ここでも、「蓄電システム.com 」 を引用して、バッテリを長持ちさせるコツを書いておきます。

・なるべく過放電は避けること。(インバーター警告音まで、できれば使わない)
・ 大容量の放電は避けること。(連続10分以上の1/2C以上は行わない)
・ 1週間に1度は満充電状態を作ってあげること。
・ 負荷接続端子を用いて、小容量の放電を行う(そのために付いている端子です)
・ 充電電流は「1/5C」以内(5時間で満充電の電流値)とすること。
・ 日なたに設置しないこと。
・ 通気性の良い場所に設置し、昼夜の寒暖差の激しいところに設置しないこと。

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