自作してみた!太陽光発電 7.DC-ACインバーターとDC-DCコンバーターの規格と使い方
はじめに
ここでは、バッテリーに蓄えた直流12Vの電気を家庭用電気機器で使う100V交流電圧に変換するためのDC-ACインバーター、あるいはUSB等の直流で動作する電気機器で使うための変換装置DC-DCコンバーターについて書きます。
下は、「自作してみた!太陽光発電」の記事一覧です。
- 自作してみた!太陽光発電 1.太陽光発電を始めるための準備
- 自作してみた!太陽光発電 2.ベランダ太陽光発電システムを作る
- 自作してみた!太陽光発電 3.独立型と系統連系型
- 自作してみた!太陽光発電 4.ソーラーパネルの規格と使い方
- 自作してみた!太陽光発電 5.バッテリーの規格と使い方
- 自作してみた!太陽光発電 6.チャージコントローラーの規格と使い方
- 自作してみた!太陽光発電 7.DC-ACインバーターとDC-DCコンバーターの規格と使い方
- 自作してみた!太陽光発電 8.鉛蓄電池からリチウムイオン電池に交換した
DC-ACインバーター
バッテリーに溜められた12Vの直流の電力を、100V交流の電力として取り出すための機器です。
停電時には、照明、パソコン、その他日常に使う電気器具を使うために大変重要なもので、そのため、少なくとも数百Wのインバータが必要です。用途によってはもっと大きなインバーターを使うことになります。
しかし、大きな電力のインバーターは自己消費電力(負荷を繋がない時に消費する電力)が数Wあるようなので、注意が必要です。平常時に数WのAC電力しか使わない場合は、小電力のインバーターをつないでおくのがよいかもしれません。
なお、電力の大きいインバーターを使い場合は、バッテリーに直接接続することが推奨されています。
DC-ACインバーターの仕様、用語
・ 入力電圧範囲
バッテリーの電圧範囲に当たる11V前後~15V前後になっています。この場合、11V以下ではAC出力が遮断され、15V以上では過電圧と判断し、この場合もAC出力が遮断されます。
・ 出力電圧
AC出力電圧のことで、Vで表されます。インバーターの出力電圧は100V/110V/220V等のいずれかに固定又はスイッチぇ選択できるようになっています。一般に出回っているインバーターは出力安定化回路を持っていませんので、電圧は正確ではないようです。
・ 出力周波数
周波数は50Hz/55Hz/60Hz等のいずれかに固定又はスイッチで選択できるようになっているようです。いずれの周波数でも日本国内の大抵の器具で使えますが、周波数に厳格な器具は周波数が合わないと使えないおそれもあります。
・ 出力波形
出力波形は、理想的には商用電源と同じ純正弦波(左下図)であれば望ましいのですが、擬似正弦波(右下図)が使われる場合もあります。擬似正弦波出力の機器は回路が簡単なので一般に価格が安くなります。擬似正弦波は矩形波や修正正弦波とも呼ばれているようです。ただし、純正弦波以外の場合、動作しない機器もありますので、注意が必要です。
・ 効率
%で表記されています。一般的に80~90%程度ですので、20%~10%程度が損失ということになります。なお、この数値は負荷電流に対する効率です。無負荷でスイッチが入っている状態での無負荷値電流(インバーターの自己消費電力に対応)ではありません。
・ 無負荷電流(または、待機電流)
上に書いたインバーターの自己消費電力に対応し、Aで表されます。定格出力がある程度のインバーターでば、負荷がなくても数W程度は常に消費しているかもしれません。
・ 定格出力
Wで表示されます。インバーターが出力できる最大電力です。この電力での連続稼動は数十分程度に抑えたほうが良さそうです。
連続して使いそうな電力の倍くらいの定格出力のインバーターを選ぶのがよいでしょう。
・サージ電力(または、突入電力)
インバーターが最大出力として耐え得る電力です。主にモーターを持つ器具を対象とした仕様です。短い時間(例えば1秒前後)だけ出力できる電力を言います。
・インバータ保護機能
保護機能として以下のような保護があります。なお、問題が解消されると自動t系に復帰する機器が多そうです。
出力オーバー保護:出力電力が許容範囲を超えると、電源を切る。
出力ショート保護:出力側でショートすると、出力を停止。
異常温度検出保護:内部温度が一定以上になると電源を切る。
入力電圧低下保護:入力電圧が、一定値以下になると電源を切る。
入力過電圧保護:入力電圧が一定値以上になったときに電源を切る。
・ 騒音
これを明示している機器はあまりありません。しかし、数百Wのインバーターになると自己消費電力が大きいため、ファンが回り、設置場所によっては騒音がうるさい場合がああります。
仕様の例1
私が購入したBESTEKの正弦波インバーターMRZ3010HUの仕様は以下のようになっています。
定格出力:300W
最大出力:380W
瞬間最大出力:600W
出力波形:正弦波
出力周波数:55Hz
USB出力:DC 5V/4.2A (5.0Amax)
保護機能:1 出力オーバー保護、 2 出力ショート保護、 3 異常温度保護 、4 入力電圧低下保護 、5 入力過電圧保護、 6 入力ショート保護。
実機で測定したところ無負荷電流は12Vで0.8A程度、つまり、自己消費電力は10W程度でした。
仕様の例2
平常時に使うインバーターの候補として私が購入したセルスターのインバーター FTU-30Bの仕様は以下の様になっていました。
AC100V
USB 5V 最大消費電力1.2A
最大出力30W
定格出力24W
瞬間最大出力60W(0.1秒以内)
保護機能は、以下のとおりです。なお、保護機能が働いた後、問題が消えると自動的に復帰します。
・ 出力オーバー保護
・ 出力ショート保護
・ 異常温度検出保護
・ 入力逆接続保護:ヒューズが切れる
・ 入力電圧低下保護:入力電圧が約9.5V以下
・ 入力過電圧保護:入力電圧が約15.5V以上
入力電圧低下保護の電圧は少し低すぎますので、バッテリーに直接つなぐのは少し不安があります(小電力用なのであまり心配はないものとは思いますが)。
実機で測定したところ、無負荷電流は0.2A、自己消費電力は2W程度でした。
DC-DCコンバーター
バッテリーの12VからSUBの5V電源あるいは、他の直流電源への変換装置として使われます。
変換効率が比較的高いので、AC100Vを介さずに済む装置にはこちらを使うほうが得策です。
DC入力側の仕様及び保護機能はDC-ACインバーターに準じます。
DC-DCコンバーターの例
私が購入したOuttagのカーチャージャー(DC-DCコンバーター)の仕様は以下のようになっています。
入力:DC10-15V
出力:15-20V 90W(最大)
USB出力:5V 2.1A
保護機能:ショート保護、低電圧保護、高電圧保護、過熱保護
ノートPCやスマホの給電を行う充電器としての位置づけです。USB充電や、ノートPCの給電に使います。
若干実測してみた結果、無負荷電流はほぼ0Aでした(チャージコントローラーの表示による)ので、自己消費電力は少なさそうです。無負荷時にはコンバーター部分はほんの僅か暖かくなる程度です。
太陽光発電の記事
このブログでの太陽光発電の記事は、以下のようになっています。