「微生物が地球をつくった」H.G.フォーコウスキー著

著者のH.G.フォーコウスキーという人は海洋生物学者で、本書では、微生物が地球上の生物の進化や地球環境の成立に果たした役割を書いています。古細菌が嫌気性細菌(これが後にミトコンドリアとなる)を取り込み真核生物となり、その一部は藍藻類を飲み込んで植物となったらしい、という過程をじっくりと解き明かしています。

タイトルは「微生物が地球をつくった」となっていますが、原題は「Life’s Engines」です。本書の内容は、細胞内のエンジンである微小な器官(ナノマシーンと呼んでいる)にかなり重点を置いて記述されていますので、生命のエンジンとした原題も合わせると、書かれている内容によく合う感じがします。

内容を列挙すると以下のような感じです。ます、微生物についての説明があります。微生物(細胞)の中の小器官を生命の小さなエンジン(ナノマシーン)として説明され、これが主役です。これらがどのようにして生まれ、更に地球上の生物として進化していったかが書かれています。ミトコンドリア、葉緑体のお話、リボソームの働きなどの話題が続きます。

内容はとても面白く、最初はじっくり読んでいたのですが、かなり詳細にわたり書かれているため、気力が続かず、後半は少し飛ばし気味に読んでしまいました。しかし、後日もう一度じっくり読みたい、と思わせる面白さでした。

とはいえ、読むのに少し苦労もしました。例を少し書きます。

「中性子には電荷は無いが、原子核で「接着剤」の作用をして、、、」(p.057)とあるのですが、中性子にそんな作用があるとは思えませんので、ひょっとすると中間子と混乱をおこしているのかもしれません。

「古い岩石の大半が、侵食で堆積物となり、地表から内部へもぐり込み、溶解し、、、」(p.060)とありますが、これは、海底の堆積物がプレートテクトニクスで地球内部に引き込まれ、融解し元の情報がなくなることを言いたいようですが、少し変です。
「・・・メッセンジャーRNAが一本のスパゲッティのようにリボソームに送り込まれると、二つのタンパク質による部分が前後に動き、・・・」とありますが、「・・・による・・・」の意味が不明で、リボソームの動作がよく分かりません。というか、言いたいことは分からないでもないのですが。

その他、この類の表現はあちこちにあります。読む側に知識があれば斜め読みでも通じてしまうのでしょうが、十分な知識のない分野でこのような書き方に出くわすととても苦労してしまいます。私の知識の少なさのためところどころでつまづいてしまい、そのうち、細かいところは無視して読み飛ばしてしまう部分が増えた、というのが正直なところです。

いろいろとケチを付けましたが、まとめると、微生物(細胞)の進化がワクワク感とともに理解できました。

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