手作り楽器 いろいろな琴
テグスを弦にした琴
小学校中高学年の児童にも簡単に作れる琴を狙ってみました。1オクターブ8弦の琴で、出来上がりは下の写真のとおりです。
<材料>
下の材料を使いました。テグス以外は100円ショップで簡単に手に入ります。テグスも入手は容易です。
・12cm×20cm、厚さ1cm程度の板。材質は固いほどよさそうだが値段との相談。
・10号程度のテグスを2m程度。一本のテグスで1オクターブ分8本の弦にする。
・仕切り板(プラスティック製で組み合わせて作る仕切り板)24cm。
・洗濯ばさみ
工作を簡単にするための工夫がいくつかあります。
・弦ごとに別のテグスを張るのではなく、一本のテグスで8弦分張ってしまう。
・弦の端は、テグスの輪を仕切り板に引っ掛ける。
・張力を得るために、結束バンドを使う(写真の左手前)。
・駒は、12×12の角材を5cm程度に切り、洗濯ばさみの半分を両面テープで貼り付けて作る。
<作り方>
作り方を次に書きます。写真を参考にして下さい。先ず長短2本のテグス(約180cmと約20cm)を用意し、それぞれ両端に大小の輪を作ります。長いテグスの大きい方の輪は仕切り版に引っ掛け、反対側の仕切り板との間に8本の弦になるように張ります。短いテグスの大きい輪は仕切り板の反対側の端に引っ掛けます。2本のテグスの輪の間隔は4cmになっていればよいでしょう。そして、両方の小さい方の輪を結束バンドでつなぎます。結束バンドで絞ることにより張力を強めます。各弦には洗濯ばさみの半分で作った駒を置き、音程を決めます。一本のテグスしかありませんので、音程を決める(駒の位置を決める)前に、各弦の張力がほぼ同じになるようにしておきます。すべての駒を中央あたりに置き、調整するとよいでしょう。その後、1オクターブ分の音階となるように駒の位置決めをします。
ピックは、適当なプラ板を切って作って下さい。音色は、底の板、テグスの張り方に左右されます。このままでは音が小さいので、箱の上に置くと、箱が共鳴器になって音が大きくなります。最初から箱状の上に弦をはってもよいのですが、科学塾では共鳴の効果を実感してもらうためには、セパレート型がよいかと思います。なお、ここで使った駒は、弦の振動を底板に伝えるという役割はちょっと弱いようです。もう少し難い材質が望ましいでしょう。
材料費は200円程度、工作は簡単、音はそれなりに、と小学生の工作にはうってつけです。しかし、大きな課題があります。調律です。そのポイントは二つあり、ひとつは、子供に音の高低を弁別してもらう必要がある点、もう一つはこの琴は一本のテグスで作っていますので、一部の弦の張力を変えると他の部分に影響する点にあります。
そのため、このタイプの琴では、音の高さがある程度把握できる音感に加え、弦の張力と音程に関する知識、隣り合った弦の影響の仕方に関する理解力が必要す。小学校4~5年生ではどの程度の割合で調整ができるのかちょっと心配はあります。逆に、こういう工作をすることによって音の感覚・知識を養うことができるかもしれません。
なお、四七抜き音階の6本弦にすると、琴の気分がでます。下の写真です。底板には、奮発して100円の25cm×10cm程度の竹の板を使いました。童謡は6本でだいたい弾けます。勿論、琴と同じように駒の左側の弦を押さえることにより音を若干高くすることができますので、基本的にはどの音階でもOKです。
テグスの琴 その2
上では、1本のテグスを折り返して張った6弦の琴と8弦の琴について書きました。そのとき、洗濯バサミの下に1×1の5cm程の角材を貼り付けたものを駒として使っていました。しかし、ちょっとぐらつくこと、弦の振動が底の板に充分に伝わらないらしいことなどの問題があり、今ひとつ満足できませんでした。
その後、大きめな洗濯バサミを使ってみたところ、ちょっとの細工で使えることが分かりました。駒を上の写真に示します。洗濯バサミは、100円ショップで10個100円のものを使いました。写真左端の洗濯バサミの金具をはずします。洗濯バサミの半分を駒として使いますが、写真のように、揺れを防ぐために小さなクリップを挟んであります。クリップを使わなくても前の試作品よりも良くなっていたのですが、クリップを使うとさらに揺れが減りました。
完成した琴は下の写真のようになります。6弦の琴です。1枚100円の竹製の板を使いました。その他、駒が50円、クリップが30円、テグス10円?。従って、材料費は1台当たり合計200円程度かと思います。
輪ゴムの八弦琴
ティッシュボックスの両端にプラスチック製の仕切り板をつけ、そこに4本の輪ゴムを渡して写真のような8弦の琴を作ってみました。写真のゴムを張った面の黒い部分を弾きます。弦が見やすくなるように黒い紙を貼りました。
中央部分のプラスチックの板にビスとナットを挿しティッシュボックスに取り付けると同時に、駒としての働きもさせています。音の高さがあまりずれないように、両端の仕切り板の部分と、ビスの部分はゴムをくるっと1回巻きつけるようにしました。
弾き方としては、縦に置いてもよいのですが、穴が裏側になっていますので、音響効果の点からは、縦に持って弾くのがよさそうです。なお、左側?を低い音にしていますので、琴とは逆の配置になっています。
工作はとても簡単ですし、音の高さの調整も、前に紹介したテグスの琴よりも簡単にできます。小学生の工作としても簡単な部類に入ると思います。肝心の音もまあまあで、ティッシュボックスが共鳴効果を発揮しこのままでも音量は充分です。
輪ゴムの八弦琴 その2
上では、弦の長さを木ネジで調節していました。つまり、ゴムをネジに巻きつけ、その張力を適当に変えることによって音の高さを調整していましたが、音の高さの調整が難しい、ねじ山にゴムがこすれゴムが切れやすいという弱点がみつかりました。
そこで、木ネジの代わりにネジ付きのL字フックを使った琴を作りました。上の写真です。ここでは、ティッシュボックスの底面の表と裏にプラスチックダンボールを重ね、L字フックを上から下に貫通するように差し込むことにより固定されるようにしました。従って、特に接着剤のようなものは使っていません。でも、8本のフックで大丈夫なようです。
作り方は、ティッシュボックスの両側にプラスチックの仕切り板をビニールテープで貼り付けます。ティッシュボックスの面の表裏に適当な大きさに切ったプラスチックダンボールを重ねて手で支えておいて、そこに、L字フックを8本、ネジって差し込みます。そこまでできたら、輪ゴム4本を、両側の仕切り板に引っ掛け8本の弦にします。ずれないように、仕切り板の部分では二重に巻いてあります。そして、中間にあるL字フックに1回巻きつけます。これを8箇所で行います。下の写真のようになります。
音の高さの調整は、先ずは、巻きつける位置を少しずらしながら、大まかにドレミにあわせます。その後は、L字フックを回して音の高さを変えます。今回、L字フックを使ったため、調整が随分と楽になりました。
なお、この記事は、2008年の記事を編集し、まとめなおしたものです。