「時空のゆがみを解きほぐす数学」スティーヴ・ネイディス、シン=トゥン・ヤウ(すばる舎 2024)

本書の共著者の一人、ヤウは高名な理論物理学者で、もう一人のネイディスはサイエンスライターです。この本は、一般相対性理論を中心とした重力理論を解説した本ですが、内容はかなり高度で、理解するのにはなかなか大変です。

私は、といえば、深川峻太郎著の「アインシュタイン方程式を読んだら宇宙が見えた」という本で一般相対性理論の方程式を追ったことがあり、方程式の大まかな意味は一応理解している、というレベルにはあるだろう、とたかをくくっていたのですが、本書の理解のためには、それでは全く足りないことが分かりました。

重力理論の発展

この本では、先ず、アインシュタインが一般相対論の基礎方程式(アインシュタイン方程式)に到達するまで苦心惨憺した様子が書かれています。重力は空間の歪みであるとの着想を得、ユークリッド幾何ではなくリーマン幾何を使い理論を構築し始めます。研究の初期のグロスマンの助力はよく知られていますが、その後も、チヴィタやヒルベルト、ネータ、その他の人たちがどのように関わったか、興味深いお話で溢れています。

さらに、アインスタインが導いた一般相対性理論の基本方程式を更に発展させブラックホールの理論発展させたシュヴァルツシルト、カー、チャンドラセカール、ホーキング等の役割が書かれています。しかし、時空と重力、ブラックホールに関連した理論、さらには「弦理論」などの議論は非常に数学的で、何を書いてあるのか私にはほとんどチンプンカンプンの状態になりました。

本書に書かれた内容を楽しむためには、相当な勉強が必要そうです。

この本の目次

はじめに
前奏曲~円錐の切り方は一つじゃない
第1章 落下する物体、移り変わるパラダイム
第2章 「一般」へ至る道すじ
第3章 最高傑作
第4章 特異すぎる解
第5章 その波を追いかけて
第6章 全宇宙の方程式
第7章 質量問題という問題のかたまり
第8章 「統一」への探求
後奏曲~真のミステリースポットはどこにある?
おわりに
監訳者あとがき
原註
索引

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