「気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 (らくらく突破) 」気象予報士試験受験支援会(技術評論社 2012)
この本は、気象予報士試験の受験テキストです。気象予報士試験は、学科と実技に別れており、学科は更に一般知識と専門知識に別れています。このテキストは実技編です。なお、現在品切れかもしれません。
本書の内容
実技試験とはどういうものかについて、著者は「実技試験はある日時の実況天気図ならびに観測データと、その時刻を初期時刻とした予想資料を基に、実況の気象の把握および予想資料から現象の予想等を行います。 また、同時に防災上観点から災害に関する知識も一定の割合で出題されます。実況把握・予想共に天気図の表現を正確 に読み取 って、その表現の根拠や解釈などを数十字程度で論述させます。 また、作図による問題もあ ります」と書いています。つまり、天気図等から気象の状況把握と予想を行う、というかなりの高度な能力が要求されます。そのような知識能力を一冊の本で付けるのはなかなか大変なことです。実際、このテキストの著者も「本書 1冊で合格すればもちろん光栄ですが、執筆に当たっては1冊で合格という観点ではなく、受験生の多くが実技学習の具体的なやり方の礎になることを強く意識した次第です」と書いています。かく言う私もこの本の他もう一冊使いましたが、私は結局実技に合格できいませんでした。実技の難しさは身にしみて感じています。
この本の内容については、下の目次から分かりますように、かなり細かく項目が分かれており、その項目ごとに説明がされています。従って、丁寧な説明であると同時に、同じ説明が繰り返される感もあります。
実技のテキストとして、最初はこのテキストを購入しましたが、後にもう一冊購入しました。私は気象予報士試験の実技試験を3回受けたことになりますが、最後まで時間不足で解答用紙に白い部分を残したままの提出となり、テキストのせいにはできない部分で不合格となっています。
目次
はじめに
気象予報士実技試験の内容と学習法
1 実技とはどのような試験なのか
2 実技の学習方法
3 実技科目分野の対策
4 実技の合格ライン
5 実技の事例演習
本書の活用法
第1章 実技のための基礎知識
1 地上実況観測や気象情報等の読み取り
1 はじめに
2 実技に関する知識事項(正しい暗記および即答が必要)
2 気象衛星画像解析に関する知識
1 はじめに
2 気象衛星観測の知識
3 気象衛星画像の解析
1 はじめに
2 可視画像
3 赤外画像
4 層状性の雲の特徴
5 対流性の雲の特徴(積乱雲域の場合)
4 気象衛星画像解析の方法(実践解説)
1 はじめに
2 気象衛星画像解析
3 雲域と天気図の対応の解析
4 雲画像解析例
5 気象衛星画像の事例別解説
第2章 天気図の読み方と着眼点
1 地上天気図の読み方と着眼点
2 850hPaの天気図の読み方と着眼点
3 700 hPaの天気図の読み方と着眼点
4 500hPaの天気図の読み方と着眼点
5 300hPaの天気図の読み方と着眼点
6 予想天気図の読み方と着眼点
7 波浪予想図天気図の読み方と着眼点
第3章 合格のための試験対策と作図対策
1 実技試験の採点基準と論述法
1 はじめに
2 実技問題の配点
2 作図問題の学習方法
1 はじめに
2 地上等圧線解析
3 等圧線作図
4 等降水量線作図
5 等温線解析
6 強風軸解析
3 前線解析
1 はじめに
2 寒冷前線の種類
3 前線解析の方法
4 前線の種類と記号
5 閉塞前線の種類
6 前線のキンク
7 ウインドプロファイラ観測資料による前線解析
4 前線の解析事例
第4章 テーマ別事例演習
事例演習1 低気圧
事例演習2 不安定現象と北東気流
事例演習3 四国豪雨(メソモデル事例)
事例演習4 梅雨
事例演習5 冬型
事例演習6 台風
事例演習7 寒冷低気圧
付録 実技の学習に必要な知識
1 日本周辺の地理知識
2 緯度・経度について
3 風について
4 地形と気流の関係
5 関東~東北地方の平野部の北東気流
6 現象と災害の知識
7 災害名
8 実技で問われやすい注意報や警報
9 作図練習問題
10 作図練習問題の解答・解説