「新装完全版 大国政治の悲劇」J.J.ミアシャイマー(五月書房新社 2019)
この本は、世界を地政学的に、つまり、各国のパワー(経済力や武力)によって国際関係を分析し説明しようとする理論「攻撃的リアリズム」について書いています。リアリズムは、リベラルに対する用語のようです。たまにはこのような本を読んでみようと思い取り掛かったのですが、何かというと平和主義に与したくなる私としては、このような本は、なかなか読む気になれません。とはいえ、昨今の、トランプのドンロー主義のようなやりかたをみると、現実の動きを理解する重要性も感じます。ロシアや中国には困ったものだと思っていたら、トランプのアメリはそれ以上に困った国になっているようです。アメリカは昔から困った国だったのですが表向きは民主主義を装う国でした。しかし、トランプ政権になってからはその装いを脱ぎ捨てた国になりました。
ということで、気を取り直してこの本に挑戦を試みました。でも、第1章を呼んだところで挫折してしまいました。でも、さいわいなことに、どうやら第1章に大体のことが書いてあるようです。そのため、もういいや、と一瞬思ったのですが、念の為に、Copikotに、各章に書いてあることをまとめて、とお願いしてみました。そうすると、下のような返事がありました。どうやら、第1章にかかれていることがその後の各章に何かしら書いてあるようです。でも、きちんと自分で読まないと、著者の言わんとする理屈は分からなさそうです。
なお、著者はどうやら暗い将来をみているようです。その原因は、人間が愚かだから、ということではなく、国際システムの構造によるものであって、人間にはコントロールできない、ということのようです。
『新装完全版 大国政治の悲劇』章ごとの要約(Copilotによる)
第1章 イントロダクション
攻撃的リアリズム(オフェンシブ・リアリズム)の基本的な考え方を提示する章。
国際政治は無政府状態であり、国家は生存のためにパワーを最大化しようとする。
リベラリズムや制度論を批判し、パワー政治こそが国際関係を動かすと主張する。
第2章 アナーキーとパワーをめぐる争い
国家がパワーを求める理由を構造的に説明する。
- 国際社会には中央政府がない(アナーキー)
- 他国の意図は読めない
- 軍事力が安全の基盤
このため国家は攻撃的に行動し、覇権を目指す傾向が生まれる。
第3章 富とパワー
軍事力の基盤は「人口」と「富」であると論じる。
経済力は軍事力に直結し、国家のパワーを決定する。
経済成長は国際政治における勢力変動の主要因となる。
第4章 ランドパワーの優位
覇権を目指す上で、陸上戦力(ランドパワー)が最も重要であると説明する。
海洋国家は世界覇権を握れず、地域覇権にとどまる。
歴史的に覇権を争ったのは大陸国家が中心だった。
第5章 生き残りのための戦略
国家が生存のために採用する戦略を整理する。
- バランシング(均衡化)
- バック・パッシング(責任転嫁)
- 先制攻撃
- 同盟形成
国家は状況に応じてこれらを組み合わせて行動する。
第6章 大国の実際の行動
過去200年の大国の行動を分析し、攻撃的リアリズムが現実に適合していることを示す。
ドイツ、日本、ソ連、アメリカなどが覇権を追求した歴史的事例を検証する。
第7章 イギリスとアメリカ:オフショア・バランサー
イギリスとアメリカは「オフショア・バランサー」として行動してきたと説明する。
自らは大陸に深く関与せず、他国同士の勢力均衡を利用して地域覇権国の出現を防ぐ戦略を取る。
第8章 “バランシング”対“バック・パッシング”
国家が脅威に直面した際、
- 自ら対抗する(バランシング)
- 他国に対応させる(バック・パッシング)
という2つの戦略の違いを詳しく分析する。
どちらを選ぶかは地理・軍事力・同盟関係などによって決まる。
第9章 大国間戦争の原因
大国間戦争がなぜ起こるのかを構造的に説明する。
勢力均衡の変化、誤算、先制攻撃の誘惑などが戦争を引き起こす。
戦争は国家の意図ではなく、国際システムの構造によって生じる「悲劇」である。
第10章 中国は平和的に台頭できるか?(完全版追加)
本書のハイライトともいえる章。
ミアシャイマーは「中国の平和的台頭は不可能」と断言する。
理由は以下の通り:
- 中国は地域覇権を目指す
- アメリカはそれを阻止する
- 周辺国も中国の台頭を警戒する
→ 米中対立は構造的に避けられない
日本はこの対立の最前線に位置し、厳しい安全保障環境に置かれると予測する。
🧭 まとめ
この本は「国家は善意ではなく構造によって動く」という冷徹な視点から、
過去の歴史と未来の国際政治を読み解くための強力なフレームを提供しています。
この本の見出し
■改訂版のまえがき / 日本語版に寄せて
■はじめに
■第1章〈イントロダクション〉
(オフェンシヴ・リアリズム(攻撃的現実主義) / リベラリズム 対 リアリズム / リベラルなアメリカにおける権力政治(パワー・ポリティクス))
■第2章〈アナーキーとパワーをめぐる争い〉
(国家はなぜパワーを求めるのか / 覇権の限界 / パワーと恐怖 / 国家目標の優先順位 / 世界秩序の創造 / 国家間の協力)
■第3章〈富とパワー〉
(パワーの物質的な基盤 / 人口と富:軍事力の根源 / 軍事力の経済的基礎 / 軍事的潜在力と軍事力のギャップ)
■第4章〈ランドパワーの優位〉
(征服 対 強制 / 独立シーパワーの限界 / 戦略エアーパワーの限界 / 陸軍の圧倒的な影響力 / 水の制止力 / 核兵器とバランス・オブ・パワー / 軍事力の計測の仕方)
■第5章〈生き残りのための戦略〉
(実践的な国家の目標 / パワー獲得のための戦略 / 侵略国を抑止するための戦略 / 避けるべき戦略 / リアリスト的な理由によるパワーの譲歩)
■第6章〈大国の実際の行動〉
(日本 1868~1945年 / ドイツ 1862~1945年 / ソヴィエト連邦 1917~91年 / イタリア 1861~1943年 / 自滅的な行動? / 核武装競争)
■第7章〈イギリスとアメリカ:オフショア・バランサー〉
(アメリカのパワーの勃興 1800~1900年 / アメリカとヨーロッパ 1900~90年 / アメリカと北東アジア1900~90年 / イギリスのグランドストラテジー 1792~1999年)
■第8章〈バランシング 対 バック・パッシング〉
(どのような時に国家はバック・パッシングをするのか / 革命・ナポレオン時代のフランス 1789~1815年 / ビスマルク時代のプロイセン 1862~70年 / ヴィルヘルム皇帝時代のドイツ 1890~1914年 / ナチス・ドイツ 1933~41年 / 冷戦 1945~90年)
■第9章〈大国間戦争の原因〉
(構造(structure)と戦争 /「二極システム」対「多極システム」/「安定した多極システム」対「不安定な多極システム」/ 近代ヨーロッパの大国間戦争 1792~1990年 / 分析と結論)
■第10章〈中国は平和的に台頭できるか?〉
(オフェンシヴ・リアリズムのまとめ / アメリカの覇権の追求 / サムおじさんの後を追って / 来るべきバランシング同盟 / 戦争は起こるか? / 平和的台頭の希望)
■原注
■訳者解説とあとがき
