後期高齢者、気象予報士試験に挑む 6. 初めて試験を受けてみた

先日8月21日に気象予報士試験(第58回)があり受けて来ました。10ヶ月程の努力の結果ということになりますが、学科試験は一般知識、専門知識ともに合格できたかもしれないものの、実技試験は惨憺たる結果でした。

ここでは、その結果を踏まえ、今後の進め方などを整理しています。

試験の仕組み

気象予報士試験は大きくは学科試験と実技試験に分けられます。簡単にいうと、自動車の運転免許試験の学科試験と実地試験(実技試験、技能試験)に当たると考えてもらってよいと思います。学科試験では主に知識の有無が問われ、実技試験では主に分析力が問われる、ともいえます。

学科試験は一般知識と専門知識とに分かれます。これらは選択式による解答で、各15問が出され、合格最低ラインは10問か11問といったところです。平均点により調整するようです。学科試験のいずれも、合格すると1年間有効で、その後の有効期間はその科目の受験は免除されます。これら、学科試験は受験当日の午前中に2つ行われます。

実技試験は記述式で、天気図やその他の資料を提示され、気象状況の説明、現象の予想等が問われます。なお、実技試験は当日午後に実技1と実技2の2回行われます。

この試験の合格率は5%程度だそうです。一発で合格する人も当然いるわけですが、多くは、上述の免除の規定を使い、何度か受けて合格に至る人が多いようです。

試験の結果の予想

試験の実行組織である気象業務支援センターからの正式な回答の発表は未だないのですが、ある気象予報士がご自身で検討した結果である学科試験の正解をインターネットで公開して下さいました。

それによると、私は、学科試験の一般知識も専門知識も夫々12問は正解できたようです。未だ気象業務支援センターの正式な発表がなされていないため若干不安もありますが、合格最低ラインが11問だとしても少し余裕があります。

実技試験については、あらかじめ覚悟していた通り、時間がまったく足りませんでした。2つとも、3/4程度しか書けず、残りは白紙での提出でした。書いたものが運良く2/3程度正解したとしても、得点は50%程度にしかなりません。合格最低ラインは60~70%と思われますので、こちらは、まったく合格できる可能性はありません。

今後の進め方

合格通知は9月末のようで、それまで結果はわからないのですが、一応、学科試験は1年間免除されるものと仮定し、当面、実技試験を中心に取り組むことにしようと思っています。学科試験はどうしても記憶力が試される度合いが大きいため、後期高齢者の私としては大変苦しいところでしたが、実技試験はそれが少し軽減されそうですので、気持ちが随分と楽になりました。心理的には一歩進んだ感じですので、あと1年、のんびりやれそうです。

とはいえ、実技試験は悲惨でした。現状は、問題を読んで理解してそれから答えを一生懸命考える、ということをしてますが、それでは全く時間が足りません。問題を読みながら答えを考えるくらいの慣れが必要ですので、当面、過去問中心の勉強を弛まず続けることが必須です。その前提として、気象のからくりをきちんと理解することは当然ですが。

先ずは10ヶ月程続けられましたし、モチベーションもそれほど落ちてはいないようですので、今のところうまくいっていると言えそうです。以下では、今迄の10ヶ月弱の試験勉強を総括し、今後の進め方などを書きます。

高齢者に有利なこと不利なこと

高齢者が挑戦を続けられるとしたら、その条件は何か、高齢者に有利な点や不利な点を整理しながら、少し書いてみます。

<有利な点>

・ 高齢者にとって有利な点は、なんといっても、時間が有り余るほどあること

なにしろ、毎日が日曜日で自分の自由になる時間はたっぷりあります。

ただし、時間はあるが、悲しいことに、記憶力、集中力、持続力がないというのが実態ではあります。

・ 今までの蓄積、経験を活かせること

私は理系なので、この試験のレベルでの物理的なことは説明を読めば大体わかります。例えば、熱力学的や流体力学的な理論、数値予測システムの概要はテキストの説明でだいたい理解できます。が、ただし、それを記憶できるかどうかはまったくの別問題です。残念!

又、私は、子供の頃から気象に興味があり、小学生の頃、NHKラジオの気象情報を聞いて天気図を書いていたことがありました(それにしても、あの頃の天気予報は当たらなかったなぁ)。それ以来、気象にわずかながらの興味を持ちながら60年以上生きてきたことになります。

下にも書きますが、年をとると新しいことをするのが苦手になってきます。従って、「昔やったことある」あるいは「昔来た道」の感覚はとても大事なようです。

<不利な点>

・ 記憶力の衰え

年とともに記憶力の落ちることは誰しも強烈に経験することです(多分)。

試験勉強の際は、記憶が怪しいので、理屈を理解し覚えるというやり方を優先しました。さいわいなことに、古いことは比較的よく覚えているので助かります。

しかし、法規だとか、警報その他の基準など、つまり、暗記要素が多い物は決定的に不利です。語呂合わせなどを多用し凌ぐか、あるいは諦めるかしか方法がありません。

・ 脳の柔軟性が衰えている

年寄りには、まったく新しいことをする、というのは非常に不利なことです。特に、知らない分野に飛び込むというのはあまりお薦めできません。

それほどでなくても、勉強中に今迄知らなかった新しいことが出てきただけで頭が回らなくなります。どうやら、脳が拒絶反応を起こし受け入れを拒むようです。そういうときは、諦めて全く別のことをするか、外を散歩してくるか、なにかしら一旦頭を切り替える必要があります。

・ 持続力がない

机の前に集中して長時間座ることがなかなかできません。適当に気分転換して、又再開、ということを繰り返すしかありません。たまには、近くにある地区センターに行って見知らぬ人たちに混じって真面目に勉強気分に浸ったりしています。

・ 気力が続かない

すぐに落ち込んでやる気が無くなるため、モチベーションの維持がとても重要です。常にモチベーションの補給?が必要です。

<結局>

以上、まとめると、大事なことは、有利な条件を活かすこと、不利な点を何とか他の手段でカバーする、ということのようです。あまりにも当たり前すぎますが、できないことはできないし、できることだけする、と腹をくくるしかありません。

続けるための条件

とにかくモチベーションが大事です。なにしろ、すぐ気力が萎えて落ち込んでしまいますので。

何をモチベーションにするか、あまり難しいことを考えずに、単純にうれしいことをイメージするのがよいかもしれません。

  • 孫に「おじいちゃんすごい」と言ってもらうことを夢見る。
  • 最高齢の合格者となりちやほやされることをイメージする。
  • 真面目なところでは、脳の活性化と位置づける。これは私達の世代の最大の関心事。

本来であれば、資格をどのように活かすか、アウトプットするか、等がいえるのであれば言うことはないのですが、今のところ、特に計画はありません。というか、後期高齢者には将来ビジョンなぞ望むべくもありません。ここは残念なところです。このように書くと、社会に役立たないのでは意味がない、などと言われそうですが、そう仰っしゃらず、無駄を許す寛容な心で一つよろしくお願い致します。

脳の活性化という観点からは、実技科目の勉強はかなり効果がありそうです。質問の意味を理解し答えを考える。これは、脳の老化防止に非常に効果的な気がします。ただ読んで書いてあることを理解するだけとは違い、得た知識を自分で使いこなせるレベルに近づける必要があるからです。ただし、試験のレベルでは限界があります。過去問を繰り返すと要領が分かってきて、機械的に解けるようになると(運転免許の学科試験がパターンを記憶するとなんとかなることに似ている。レベルは違うが、、、)、認知症予防の効果は弱まるかもしれません。ただし、そのレベルに達すると多分合格しているので、結局、効果を疑うような不埒なことを考える必要はないでしょう。

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