「新アジア仏教史01インドⅠ仏教出現の背景」奈良康明他編(佼成出版社 電子書籍版 2018)
この本は、「新アジア仏教史」シリーズの第1巻です。
「新アジア仏教史」シリーズ
1972年に、佼成出版社から「アジア仏教史」全20巻が出版されました。その後、2010年から2011年にかけて、新しい研究業績を踏まえ、新しい仏教史の構築を目指し佼成出版社から「新アジア仏教史」全15巻が発行されました。そして、2018年に電子書籍版が出ています。私が読んだのは電子書籍版です。
このシリーズは、仏教そのものの歴史だけではなく、仏教の研究史まで含まれています。大勢の著者が分担しているため、記述の一貫性に欠け、内容の重複があるなどの問題はあるのですが、逆に、通して読まず、一部を読んでも十分意味が通じます。実際のところ、各巻400頁を越すサイズで、すべてを読むのはなかなか大変です。
このシリーズはアジアの仏教史と謳っていますので、インド・中国・日本・韓国・チベットなど、各地域で仏教がどのように発生し、あるいは伝わり、変遷していったかを書いています。
このシリーズの構成は以下のようになっています。
第1巻 インドⅠ「仏教出現の背景」
第2巻 インドⅡ「仏教の形成と展開」
第3巻 インドⅢ「仏典からみた仏教世界」
第4巻 スリランカ・東南アジア「静と動の仏教」
第5巻 中央アジア「文明・文化の交差点」
第6巻 中国Ⅰ 南北朝「仏教の東伝と受容」
第7巻 中国Ⅱ 隋唐「興隆・発展する仏教」
第8巻 中国Ⅲ 宋元明清「中国文化としての仏教」
第9巻 チベット「須弥山の仏教世界」
第10巻 朝鮮半島・ベトナム「漢字文化圏への広がり」
第11巻 日本Ⅰ「日本仏教の礎」
第12巻 日本Ⅱ「躍動する中世仏教」
第13巻 日本Ⅲ「民衆仏教の定着」
第14巻 日本Ⅳ「近代国家と仏教」
第15巻 日本Ⅴ「現代仏教の可能性」
第1巻 「新アジア仏教史01インドⅠ仏教出現の背景」
このシリーズの第一巻には、仏教が生まれた頃のインドの社会と宗教、文化が書かれています。目次は以下のようになっています。
第1章 ヒンドゥー世界の仏教
第2章 古代の歴史と社会
第3章 宗教の起源と展開
第4章 儀礼と文化の変遷
第5章 文学と宗教
第6章 イスラームとの共存/特論 ネパールの宗教と社会
第1章では、現在のインドにおける仏教、つまりヒンドゥー社会でのマイナーな仏教の状況が書かれています。又、仏教が生まれた頃のヒンドゥー社会の状況が書かれています。
第2章以降には、南アジアの歴史と社会、第3章はヴェーダ文学、聖典について書かれています。
このシリーズの第2巻以降の記事では、各巻で注目したところを書く予定です。
