「戦国武将、虚像と実像」呉座勇一(角川新書 2022)

歴史的人物に対する評価は、その時々の大衆の理想・倫理観などの文化的な要因により変わってきた、ということが書かれています。著者のお話しをまとめると、次のようになるかと思います。

我々は皆それぞれ「日本の歴史はこういうものだ」というイメージを持っている。こういう「大衆的歴史観」は、歴史小説や時代劇、テレビドラマといった娯楽作品の影響を受けている。このような現象は、最近始まったことではなく、江戸時代の庶民も講談や歌舞伎を通じて個々の歴史のイメージを作ってきた。おまけに、政治家、企業経営者、評論家達が、歴史を教訓にこうあるべきだと持論を述べ、それに基づき政策を説くことが多いことを考えると、「大衆的歴史観」の影響にはそうとう大きい。つまり、「大衆的歴史観」の変遷を追うことは、日本人の価値観、自己認識、理想化された自画像の変遷を明らかにすることだ。

とうことで、この本では、戦国武将に焦点を当て、例えば、明智光秀について我々が持っているイメージが、彼の同時代、江戸時代、明治時代、戦前・戦中、戦後、現在とどのように評価が変わったかを書いています。そのため、各時代で、民衆にはどのような思想(勧善懲悪等々)が重視され、時の為政者が何を望んでいたか、ということがわかり、視野が広がります。

この本の目次は次のとおりです。

はじめに
第一章 明智光秀――常識人だったのか?
第二章 斎藤道三――「美濃のマムシ」は本当か?
第三章 織田信長――革命児だったのか?
第四章 豊臣秀吉――人たらしだったのか?
第五章 石田三成――君側の奸だったのか?
第六章 真田信繁――名軍師だったのか?
第七章 徳川家康――狸親父だったのか?
終  章 大衆的歴史観の変遷
あとがき
参考文献

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