「なぜ疑似科学が社会を動かすのか ヒトは怪しげな理論にだまされたがる」石川幹人(PHP新書 2016)

疑似科学とは何でしょうか。著者によると「疑似科学とは、科学の装いをもった現実描写の物語である。科学の装いによって信憑性を上げている巧妙な物語なのである。しかし、だからといって信じてはいけないわけではない。個人や社会にとって意義があるのならば、信じておくのもよい。 ただ、そうした物語を「科学である」と誤解して信奉してしまう面は、疑似科学の大きな問題点である」とのことです。疑似科学とは例えば、広告でよく見る健康食品、美容品を始め、陰謀論、超能力、超常現象などが思い浮かびます。企業の採用などで利用される「性格診断」など、科学か疑似科学か判断の無難しいものも際限なくあります。

この本のタイトルによると、人は騙されるのではなく、騙されたがる、ようです。なぜ怪しい理論にだまされるか、について、この本では、進化心理学的に次のような説明がされています。

・人類ので脳が進化し、知能も高度化した段階に至り、人類は身の回りの法則性を発見するようになった。
・その際、法則は間違っていてもたくさんつくって実行に移したほうが、生存競争において有利だ。
・つまり、失敗は常につきものなので、正しい法則を見つけられれば儲けもの、ということ。
・進化生物学の言葉で厳密に表現すれば、過剰に法則をつくる人が現れた集団が食料調達能力を向上させ、その集団が生きのびる確率が高まったのである。
・生きのび続けた集団の 末裔 である私たちも、過剰に法則をつくる傾向性をひきついだ。

さて、疑似科学にだまされないためには、科学の成果を適度に信じることが重要なのだそうです。科学を信じるにしても、「それは社会で一定の有効性があるから今だけだまされているのだ」などと、過度に信じ過ぎない「だまされ上手」になるのがよいのだそうです。体験は生活に役立てていくために重要ではあるが、疑似科学に騙されないように体験を適切に信じるためには、下のような心がけが必要だそうです。

・想像と現実をしっかり区別する
・ 自分の感情や欲求の由来を知る
・自分の認知や思考のクセを知る
・経験してない記憶がつくられることがよくあると自覚する

この本の目次は下のとおりです。

人間は生まれながらの疑似科学信奉者
第1部 個人的体験の落とし穴―疑似科学のはじまり
第2部 体験を知識に格上げする―いかにして科学となるか
第3部 知識を社会で共有する―科学を使う
第4部 蔓延する疑似科学―誤解をただす
疑似科学を見分ける

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