「お教のひみつ」島田裕巳(光文社新書 2015)

私たちにとってお教とは、葬式等の法事のときに聞く以外はあまり聞くことはなく、馴染みの薄いものです。そして、お教を聞いてもチンプンカンプンで、意味はまったく通じません。それなら、書かれたお教は分かるか、というと漢文で書かれていますので意味はほとんど分かりません。馴染みのあるお教としては、般若心経なら読んだことがある、意味もだいたい分かる、という人はある程度でしょうか。

仏教以外ではどうかというと、キリスト教は今でこそ誰もが聖書を持っており読めるようになっていますが、歴史的には、宗教改革の前までは、聖書、ミサは一般の人たちには通じない言葉を使っていたのだ、ということです。そうなると、仏教だけの話ではないようで、お教がわからないことそれ自体は特に問題ではなさそうです。むしろ、分からないほうがありがたみがあるのかもしれません。

そうはいっても、お教についてもう少し知りたいというときには、この「お教のひみつ」はとても分かりやすい本です。お教については、佐々木閑著の「大乗仏教 仏陀の教えはどこへむかうのか」について別の記事に感想を書いたことがあります。佐々木氏の本は、仏典と教えに焦点を当てていたのですが、島田氏のこの本は、我々の仏教との付き合いに関連する説明が多くなっており、お教が身近なものと感じられます。両方合わせて読むのがよいかもしれません。

この本では、下に記す目次から分かるように、『般若心経』『法華経』『観音経』『浄土三部経』『理趣経』という5つのお経の意味と背景がわかりやすく解説されています。

第一のひみつ お経とは何なのか
第二のひみつ 『般若心経』から仏教の歴史が見えてくる
第三のひみつ 「諸経の王」としての『法華経』
第四のひみつ 観音信仰を支える『観音経』
第五のひみつ 「浄土三部経」と念仏信仰
第六のひみつ 『理趣経』に説かれた密教の世界
第七のひみつ お葬式ではどんなお経が読まれるのか

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