「土と生命の46億年史」 藤井一至 (2024)

私たちの足元にある土がどのようにできたのか、土とはどのようなものなのか、がわかりやすく書かれています。そこら辺にたくさんある土なんてつまらない、という先入観をぶち壊される、非情に読みやすくて面白い本です。

「土」とは何かを答えられるか、というとなかなか難しいようです。人間は土を十分には理解できておらず、又、土を作ることはできない、そうです。地球史上、粘土ができて生命が誕生し、微生物と植物が土を耕し、動物が上陸し、人類の進化や文明の発展に土が寄与したことが書かれており、その語り口は軽妙で引き込まれます。が、化学の知識などを持っていることが前提になっているようで、深く理解するにはかなり骨が折れます。知識がなくても面白いとは思いますが(私がそうですから)、化学、地球史、生物学、生物進化などの基本的な知識があると読みやすいし、すんなりと頭に入り、理解がより進むと思われます。

著者は、微生物、植物、動物が地球上で進化する途中、如何に地球の環境を作り上げてきたか、共に進化してきたか、ということに重点を置いているようです。そして、随所随所に我々身近な話題を織り交ぜて書いてあありますので、この本は土を主題に書いてありますが、読み進めると、生物の進化の舞台裏をみているような気分になります。一読の価値のある本です。

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