「神は数学者か 数学の不可思議な歴史」 マリオ・リヴィオ (2017)
この本は、数学史の形で数学とは何かを探っています。タイトルの「神は数学者か」の意味は、神は数学を用いてこの世界を創ったのだろうか、という問いです。これは、数学があまりにも精度良く自然を表しており(例えば、ニュートン力学)、また、数学があまりにも強力な予測能力がある(例えば、マクスウェル方程式、一般相対性理論等)ので、まるで、この宇宙は数学そのもののように思えるためです。
また同時に、「数学は発見か、あるいは、発明か」という議論に焦点を当てています。発見とは、数学が実在し(世界は数学で作られており)人はただ単にそれを見つけ出しているだけ、という考えで、発明とは、人は数学を作り上げている、という考えです。
この本では、古代ギリシャの哲学・幾何学から始まり、ニュートン、デカルト、と続く数学の歴史の中で、数学者や物理学者が数学をどのように考えていたかもつぶさに書かれています。この本を理解するにはどの程度の数学の力が必要なのか心配になりますが、発明か発見かと自分で問いながら全編を読み通すことができました。読者には一つひとつの理論を厳密に理解することは求めていないようですので(厳密に記述はしているようですが)読みやすい本だといえます。