「最高の体調」鈴木祐(クロスメディア・パブリッシング 2018)
悩み、苦しみ
この本は、一言でいうと、体調を良くするにはどうしたらよいか、を調べ考え抜いた本、といえそうです。著者は、人間の悩み、苦しみの原因を明らかにし、そこから逃れる方法を探っています。人間は進化の過程で身につけた、心理的、肉体的な仕組みを持っているわけですが、それが現代社会と適合しない場合がある、そのときに様々な問題が生じている、という考えが基本になっています。
人は様々な不安・不調(鬱病、肥満、散漫な集中力、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、弱い意志力など)に悩まされています。いずれも文明病といえる症状です。しかし、これらは別々の問題ではなく、往々にして同じ原因による場合があるのだそうです。
これら文明病は次のような理由で生じます。つまり、私達人類の持つ体、脳は、人類進化の過程での殆どを占める狩猟採集の時代に得られたものです。そういう体、脳を使って短期間に変化発達した現代文明の中で生きていかねばならないのですから、かなりの軋轢を生じて不思議はありません。そういう意味でこれらは確かに文明病です。
解決法
では、文明病から逃れるにはどうしたらよいでしょうか。著者は、体の炎症レベルを下げる、心理的な不安を減らす、という言葉を使って、体、脳を修正し、環境に合わせ、ストレスを軽減することの重要性を述べています。
著者はかなり釈迦の教えに同調しています。紀元前5世紀にインドで生まれた釈迦は悟りを開いたあと、人々が持つ不安に対し独自のソリューションを提供してくれました。 それは、ひとことで言えば「すべての欲望はフィクションだと気づきなさい」というものだそうです。ありもしない自己に執着心を持つからこそ、不安が生まれるのだと釈迦は言いました。そして、修行によりそれを会得することが必要だと説いたわけです。
そういうわけで、著者は釈迦の教えが最高であることは認めるのですが、それを実行するのは相当な困難がありますので、現代を生きる私たちには別な手法を提案しています。それは、釈迦が編み出したアイデアと最新の知見をミックスさせつつ、できる範囲で不安を減らしていくのが現実的だ、という考え方です。例えば、ストレス軽減にはウオーキングが有効ですし、瞑想も有効だとしています。特に、自己観察の手法を用いるマインドフルネスについては重点的に述べています。結局著者は、これら様々手法を状況に合わせて使っていくことを述べています。