「無(最高の状態)」鈴木祐(クロスメディア・パブリッシング 2021)

人にはいろいろな不安、悩み、苦しみがあります。これらを解決し、苦しみから逃れるにはどうしたらよいのでしょうか。本書の著者は、苦しみから逃れ、あるいは、心の穏やかさを保つためにどうしたらよいのか、相当な数の書籍、資料を調査し、かつ自分で試してきたようです。特に、仏教の無我についてはかなり重視しているようです。

悩み、苦しみの原因

この本では、人が悩み苦しむその最大の原因は、人が現実を膨らませいろいろと想像して「物語」を作っていることにある、と書いています。つまり、例えば怪我をして痛みで苦しんでいる場合、軽いけがであれば大抵は自然に治癒します。しかし、頭の中では、この怪我による傷が悪化し最悪の場合どうなるか、などといろいろ思いを巡らすことが多いのが我々の普通のすがたです。怪我をしたのを「一の矢」とすると、その後いろいろと思い悩み苦しみ恐れることを「二の矢」と呼びます。これは、釈迦が使った言葉のようです。

この本では、「二の矢」の譬えのように、苦しみを膨らませる私達の性向、思考のクセから逃れるには、あるいは対処するにはどうしたら良いのか、わかりやすく書いてあります。

我々の思考については、上のように「物語」を作る傾向とともに、我々がかなり自動的に考えていることを強調しています。つまり、何かを判断するということはなかなか知的なことではあるのですが、実際には、過去に得られたあらゆる記憶、入力した情報をすべて活用して判断するのではなく、無意識のうちにその一部だけを使い自動的に判断を下しています。逆に言うと、かなりいい加減な判断の繰り返しをしていることになります。自分自身のことは分かりづらいのですが、私達の周りの人達の振る舞いを見ると人それぞれ個性のあることが分かります。この個性というのは、たくさんの情報の中からほんの一部を選び出し判断しているために生じるクセのことだと思われます。

以上のことから、私たちは知らず知らずに、落ち込んで、苦しんで、怒っているのです。意識して、落ち込もうとか、苦しもうとか、怒ろうとかはしているわけではありません。

おまけに、皆さんは気づいていると思いますが、瞑想をするとよく分かる事実があります。それは、意識をどこかに集中しようとしても、すぐにあちこちをさまよい始めることです。自分の思い通りにならない自分の意識とは一体なんなのか、なさけなくなることがあります。

悩み、苦しみから逃れる方法

人はなぜ苦しむのか、そこから逃れる方法はあるか、など、私もブログに記事を書いたことがあり、その際、この本も参考にさせてもらいました。

本書の目次を以下に記載しておきます。目次だけ見ると、何やら恐ろしい言葉もありますが、この目次では内容がちっとも分かりませんので興味ある方は実際に読んでみてください。

序章 苦
第1章 自己
第2章 虚構
第3章 結界
第4章 悪法
第5章 降伏
第6章 無我
第7章 智慧

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