「税金下げろ、規制をなくせ 日本経済復活の処方箋」渡瀬裕哉(光文社新書 2020)
著者は日本や米国で選挙に関わりキャリアを積んできた人のようです。日本は何十年も経済が停滞してきたのですが、著者は、税金と規制が日本の発展を妨げており、停滞から脱却するには減税し規制撤廃を進めるべき、と主張しています。
本書では先ず「利権をよこせ連合」と「放っておいてくれ連合」の対抗軸を説明しています。そして、後者がより強くなるためにどうしたらよいか、を書いています。ここで「利権をよこせ連合」とは日本であれば自民党や旧民主党といった政党や官僚です。一方、「放っておいてくれ」の意味は「いらぬ干渉をするな」あるいは「税金を下げろ」と同じで、「放っておいてくれ連合」に属するのは、納税者、消費者、サラリーマン、高齢者、NHKの受信料を払いたくない人など大勢だそうです。
著者によると、米国では1980年代から90年代にかけて減税や規制撤廃する動きが活発化し経済の復活を遂げたが、日本は税金も規制も増え続けたため没落していった、と書いています。要は、そのころの米国の共和党の政策が大変素晴らしかったと言いたいようです。
何故、減税と規制撤廃が必要なのか、というロジックは以下の通りかと思われます。
先ず、政治・経済の無駄、システムの無駄、税金の無駄が多すぎる。
しかし「利権をよこせ連合」の力が強いため簡単には無駄をなくすることはできない。
減税と規制撤廃が強まるとその時初めて利権を手放さざるを得ず、否が応でも出費を減らさざるを得なくなるため無駄遣いを減らすようになる。
そうでもしなければ無駄を減らすことはできない。
と主張しているようです。
税金を下げ、規制を減らした後どうなるか、あまり良くわからないのですが、これらが解決できればアメリカのように発展できる。みんな、がんばろう。といっているようです。一時期のアメリカの共和党の理想化が半端ない感じがします。