「やっぱり宇宙はすごい」佐々木亮(SB新書 2025)
著者は、独立行政法人理化学研究所やアメリカ航空宇宙局(NASA)の研究員として恒星フレア(太陽フレア)の研究に携わり、大学講師を務めながらPodcast「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信しているのだそうです。
とてもわかり易く書かれており、Podcastで培った、一般の視聴者にも分かるような話し方が、この本でも生きているのではないかと推測されます。
宇宙はすごい
本文は、オーロラのお話しから始まります。オーロラが日本のような低緯度の地域でも見られることがあります。2024年にもおきました。それは、太陽活動の激しいとき、つまり、太陽フレアが起きやすいときに見られるそうです。では、太陽フレアとは何かというと、太陽表面で起きる爆発で、この爆発で太陽表面のいろいろな物質が吹き飛ばされて地球にもやってきてオーロラになるらしいのです。
地球の地磁気は棒磁石のようにはっきりした形をしています。しかし、太陽の磁力線はぐちゃぐちゃになっていて、太陽黒点はその顕れで、磁力線が太陽表面にあらわれているところです。地球と違い、太陽は気体なので磁力線が緯度による移動速度が異なるため、磁力線の形が複雑化するそうです。そして磁力線の突然の切断や接続の変化が太陽フレアのもとになるようです。
太陽フレアのお話しの後には、ブラックホール、ダークマター、地球外の生命と話題が展開します。この本を読むと、著者は宇宙が大好き研究を続けてきたこと、それを皆さんに伝えたいという気持ちが伝わってきます。
本文やコラムに天文学を巡るさまざまな話題があります。天文学の世界では、測定データはインターネットで公開されており、誰でも同じデータにアクセスできデータの透明性が保証されているとか、誰もが同じ分析法を使えること、同じ組織から異なる意見が出たりすることもある、とかさまざまな話題が紹介されています。
著者は、この本を通して、宇宙の面白さと奥深さを知り、世界の見方や普段の生活の感覚が少しでも変わると嬉しい、とい旨のことを書いていますので、成功しているのではないでしょうか。
目次
はじめに
第1章 すごい爆発
第2章 すごいブラックホール
第3章 すごい物質
第4章 すごい生命
第5章 すごい時空間
特別対談 ありえない病気ではない? ――ALSと宇宙
あとがき