「新アジア仏教史04 スリランカ・東南アジア 静と動の仏教」奈良康明他編(佼成出版社 電子書籍版 2018)

インドで生まれた仏教は、北へ向かい東アジアに到達し大乗仏教となり、スリランカ及び東南アジアでは上座仏教として広がりました。この巻では、東南アジアを中心とした地域のなかで生活の中に生きている仏教について詳しく解説しています。

目次は以下のとおりです。

第1章 東南アジア仏教徒の世界
第2章 上座部仏教教団の相互支援と交流
第3章 スリランカの仏教と歴史
第4章 ミャンマーにおける仏教の展開
第5章 タイの仏教世界
第6章 カンボジアとラオスの仏教
第7章 西南中国におけるパーリ仏教
第8章 仏教、民俗宗教、少数民族
第9章 女性と仏教寺院

上座仏教の広がりは、スリランカ、ベトナムを除く東南アジア、それと中国の西南部の一部となっています。それらの地域で、各地の精霊祭祀と神々は、仏教が内包するかあるいは仏教に従属するような関わりの中で共存しています。これは、世界共通のようで、他の世界宗教を受容する国々でも精霊信仰は根強いそうです。

2つの世界大戦では多くの寺院などが破壊されました。又、社会主義の国々では一時期宗教を暴力的に禁じられるなど、厳しい状態にありましたが、現在、これらの国では、多くの仏教祭事を国家行事とするなど仏教が政治や経済と結びついているそうです。

これらの国々では、一時出家の慣行があり、幼少期あるいは青年期に修業に入り、その後、俗世に戻るなり、出家するなりするようです。寺院は、在家信者が造営するようで、在家者の力は大きいようです。

上座仏教の国々の間には交流があるようですが、それは、上座仏教の経典はパーリ語で書かれており、それが共通語の役割を果たし、上座仏教徒は交流できる、というこだそうです(東アジアでは漢字が同様な役割を果たしている、ということでしょうか)。ただし、上座仏教徒は行いを重視し、経典をあまり重視しないという傾向はあったようです。

第3章以降では、スリランカ、ミャンマー、タイ、カンボジア、西南中国、ベトナムなど各国の文化、生活、信仰について説明されています。

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