自作してみた!太陽光発電 6.チャージコントローラーの規格と使い方

はじめに

ここでは、チャージコントローラーについて書きます。

下は、「自作してみた!太陽光発電」の記事一覧です。

チャージコントローラーの役割

バッテリーに直接ソーラーパネルをつなげても充電はできるようですが、バッテリーにダメージを与えるため、直結すべきではないようです。

ソーラーパネルからバッテリーに充電する際に、適切な電圧・電流で行うのがチャージコントローラーの役割で、更に、過充電や過放電の制御、逆接続・短絡・逆流等から保護する機能も持っています。

充電に際しては、一般的なチャージコントローラーは、バルク、アブソープ(吸収)あるいはブースト、フロート等多くの充電モードを備えています。これらについては、後ほど説明します。

また、様々なタイプのバッテリーがあり、それぞれ充電終止電圧等が異なりますので、バッテリーに合った充電を行うように工夫がなされています。

過充電の防止

鉛バッテリーの電圧には上限があり、大体14.5V~15V程度です。それに対し、ソーラーパネルの最大電圧は(12V用の場合)18V以上になることがありますので、直結すると、満充電になっても流れ続けバッテリーを壊してしまいます。

チャージコントローラーは、いくつかの充電モードを備え効率の良い充電を行うとともに、バッテリーの電圧が上がりすぎると過充電を防止するという保護回路も持っています。

逆流の防止

晴れた昼間はソーラーパネルの電圧が高くなるためバッテリーに充電電流が流れます。しかし、夜になりソーラーパネルの電圧が下がりバッテリーの電圧より低くなった場合には、バッテリーからソーラーパネルに逆流する恐れがあります。チャージコントローラは、これを阻止する機能も持っています。

適切な電圧と電流でバッテリーを充電する

チャージコントローラーの充電制御について書きます。日照条件、負荷条件によりバッテリーにどのような方法で充電するのが最適と考えるかは、開発者によりいろいろと異なります。

先ず、バルク充電モード(できるだけ大きな電力で充電するモード)で用いられる制御方法について書きます。それには、PWMとMPPTの2種類があります。

PWM制御

PWMとは、Pulse Width Modulationのことで、電圧を変化させるためにパルス信号のパルス幅を長くしたり短くしたりして、一定の電圧と電流で充電するように制御する方式のことです。比較的安価なので、小電力のパネルでよく使われます。

MPPT制御

MPPTとは、Maximum Power Point Trackingのことで、電圧と電流をコントロールして常に最大の電力量を取り出せる組み合わせを選んでいく仕組みになっています。具体的には、DC-DCコンバーターで出力電圧(充電電圧)を変えながら、最大電力となる充電電圧を探し充電するという仕組みなのだそうです。ソーラーパネルは太陽光の強さにより発電特性が変わりますし、バッテリーの電圧も充電状態に応じて変化しますので、常に最適点を探すMPPTはかなり効率のよい充電方法のようです。

PWM方式よりも装置が高価ですが、95%以上100%に近い高効率になるようです。そのため、高価な大電力のシステムではMPPTが使われるます。

下の図は、Tracer1210の取説から取ったもので、ソーラーパネルの特性と、PWMとMPPTでの充電ポイントを示しており、MPPTが最大電力点を捉えて充電することを示しています。

図で、横軸は電圧、縦軸は電流です。太い破線は電流を示しており、太い実践は電力を表しています。この図では、16V付近に最大電力点があります。従来方式というのはPWMのことで、バッテリー電圧に準じた10.5~14Vあまりの電圧範囲で充電することを表しています(ソーラーパネルの電圧が上がるとPWMで14V程度にして充電する、と言いたいようです)。それに対し、MPPTでは最大電力点での電圧・電流で充電できることを表しています。

なお、このカーブは、日照状態により大きく変わります。そのため、MPPTでは、電圧をちょっと変えてみて充電電力の増減を調べ最大電力の電圧値を探すという動作を繰り返す「最大電力点追跡処理」を行っています。

 

充電モード

上に書いたように、実際の充電に際しては、いくつかの充電モードが用いられています。この制御方法は、開発者・メーカーにより少し異なるそうです。

Tracer1210を例に下に説明します。充電モードは3つあり、以下のようになっています。

下の図は、Tracer1210の取扱説明書から取り出した充電プロセスを示す図です。横軸は時間軸です。下の2枚の絵のうち、上の図は縦軸がバッテリー電圧、下の図では縦軸はバッテリー電流です。

バルク充電(上図Aの期間)は、バッテリー電圧が低い状態からブースト充電電圧になるまでの間の充電方法で、最大電力で充電します。Tracer1210ではMPPTで充電します。

ブースト充電(Bの期間)では、電圧一定で充電し、電流は徐々に減らされます。MPPTは行いません。

フロート充電(Cの期間)では、微弱電流で充電します。バッテリー電圧が下がり再充電電圧に至るとバルク充電に変わります。

各電圧値については、Tracer1210では、シールドバッテリーを選んだ場合、以下のようになっています。

過電圧遮断 16V
過電圧復帰電圧 15.0V
ブースト充電電圧 14.4V
フロート充電電圧 13.8V
ブースト復帰電圧 13.2V
低電圧復帰電圧 12.6V
低電圧遮断 11.1V

取扱説明書では上のような説明がなされていますが、実際には太陽が見え隠れして発電状況が変動し、負荷も時々刻々変わりますので、その場合どうなるのか、よく分かりません。上図のA、B、Cの各状態を遷移するのだろうとは思いますが、時定数などは不明です。

なお、「バルク充電」「アブソーブ充電」「フロート充電」の3段階で表現しえいるチャージコントローラも多いようです。

結論として、バッテリーは、だいたい最大で14.4Vから最小で13.8Vで充電されているようです。満充電時のバッテリー電圧が13.5V程度ですので、最終的にはこの電圧に近づくように充電している、ということかと思われます。

配線について

上に書かれていますように、チャージコントローラーでは、充放電制御のためにかなり細かく電圧が設定されています。しかしながら、この電圧は、当然ながらチャージコントローラーの端子で測った電圧です。従って、チャージコントローラーとバッテリーの間のケーブルで大きな電流が流れて電圧降下が生じるとチャージコントローラーの設定電圧と実際のバッテリーの電圧との間に差が生じます。

そのため、チャージコントローラーとバッテリーの間はできるだけ太く短いケーブルで配線しなければなりません。電圧降下が大きいと、実際のバッテリー電圧が設定したブースト電圧よりも低い電圧で、バルク充電からブースト充電(アブソープ充電)に移ってしまい、十分な充電ができなくなる恐れがあります。

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