「宇宙は数式でできている」須藤靖(朝日新書 2022)

この本は、タイトル通り、宇宙の法則が数式で表されていることを説明しています。
著者は、「この宇宙が法則と数学に支配されていると信じる派」である理由を書くのがこの本の主な目的だと書いています。人は、宇宙の表す法則を数式を発見してきたのだ、とされています。

数学は「発明」するのか、「発見」するのか、という議論もあり、これに関しては、別記事で「神は数学者か」という本を紹介しました。この本では、それとはほんの少しばかり異なり、物理学者は理論を「発明」するのか、「発見」するのか、というのが中心テーマです。

例えば、アインシュタインは一般相対性理論を発明したのではない、発見したのだ、としています。宇宙は重力により歪むことを発見し、そこから導かれた理論は非常に正確に宇宙の状態を表しており、また、予測能力も非常に高い、と説明されています。

発見派の言い分だと、宇宙は数学に支配されていて人はそれを発見するのだ、といことになります。そして、発明派の言い分だと、宇宙を表現する方法として人間の頭で解釈できる方法で説明した(つまり発明した)、となるのでしょうか。

私自身は、どちらかというと発明派に近づいています。人は、宇宙を現在分かる範囲で数式を用いて近似している、と考える派に近いようです。例えば、重力により空間が歪む、という説明はひょっとすると、空間の持つ性質を人間の頭で理解できる形(この場合は空間の歪み)で表しだけなのかもしれない、と思ってしまうのです。

なお、「この宇宙が法則と数学に支配されていると信じる派」は、更に、以下のように細かく分けられるとしています。

「宇宙のすべてを数学に帰着させることができる」(超過激派)
「宇宙の本質的振る舞いだけを取り出すせば数学によって厳密に記述できる」(中道派)
「宇宙の振る舞いの一部分は数学を用いて近似的に厳密に記述できる」(保守派)
「宇宙は神によって創られたものであるから、その全ては神が決めた摂理に従っている」(日本では少数派)

人の考えることは、宇宙を自由に飛翔しているようです。楽しくなりますね。

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